わたしには難しかった。
ストーリーはキッチリあるし、流れに抑揚があるのである程度は子気味よく読み進めることができる。
しかし、「結局どういうことなんだ?」釈然としない結末。
作品を通して、または、主人公誠実さや苦悩を通して、何を伝えたかったのか。私の頭を逆さまにひっくり返しても全くわからなかった。
上巻を読み終わったとき、最後まで行き届かなければ、作品の良さはわからないだろうと思った。最後の1行まで歩き続ければきっと何かがはっきりと光となって現れるはずだ。
期待を胸に1歩1行を進んでいった。綴られる美しい景色を見ながらやっとの思いで目的地にたどりついた。
しかし、そこから見えるものは何もなった。
前評判とは裏腹で面白くなかったので、書評を調べてみた。
その書評にはこう書いてあった。
性器をいじることにまつわる若い男女の性愛の姿を、これだけ抒情的にこれだけ愛情をこめて、またこれだけあからさまに描写することで、一個の青春小説が描かれたことは、かつて私たちの文学にはなかった。
ノルウェイの森wikiの書評より
評論家・逸見朗さんの書評を読み、古すぎる感覚に絶句した。
よくよく調べてみると初版が1987年なのでしかたないのかもしれないが、男女の性についての捉え方は、現代と当時とはかけ離れすぎている。
書評に書かれているのが「性愛の描写」についてしか書かれていない。
当時としてはそこが評価に値するところだったのだろう、ということに驚きを隠せない。
わたしたち令和に生きるものとしては、古くて味のしないコーヒーのような小説である。
タイトル | ノルウェイの森(下) |
著者 | 村上 春樹 |
出版 | 講談社文庫 |
出版日 | 2004/9/15(初版:1987/9/4) |
評価 |
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