作品を読んだのはいまからちょうど4年前の社会人2年目のとき。ネットワークエンジニアをやっていた時の頃は出張が多く、移動中や宿泊しているホテルで本をよくよんでいた。
多くの本を一度読んでいたせいか作品に対する目が厳しく、当時のノートに辛辣なことが書いてあった。
前半の展開がダイナミックに進み、楽しく感じた
ただ、主人公が日本からの出国を決めてから、ストーリースピードが落ちて、読了感も同時に落ちてしまった。
4年前のわたしノートより
本小説の著者は前回紹介した原発サイバートラップを書いた「一田和樹」さん。
この物語にもハッキングしている部分があるが、すべて実現可能なものばかりである。
当時わたしはあちこち飛び回りリアルの通信インフラを構築していた。その通信システムがハッキングされる恐怖についても当時のノートに残っていた。
作中のハックする内容はすべて実現可能なものばかりだと思う。だからこそ、現在のITインフラについて恐ろしさを覚える。そんな脆弱なIT環境で生きていると思うと寒気がする。
自分にできること、少なくとも身の回りのIT環境だけでも守っていきたい
4年前のわたしノートより
ITエンジニアであった自分が職場環境のセキュリティについて恐怖を覚えるほど、この作品はリアルにありありと書かれている。
この作品だけではなく、他の作品でもそれは変わらない。
また、近年の小説らしく、非常に読みやすい。その一端を担っているのが、キャラクターの存在感。
天才ハッカー安部響子は頭脳明晰でありながら対人スキルが乏しすぎる。そのギャップがかわいい。
安部響子は萌えである。
タイトル | 天才ハッカー安部響子と五分間の相棒 |
著者 | 一田 和樹 |
出版 | 集英社文庫 |
出版日 | 2015/1/15 |
評価 |